博士の愛した数式
「博士の愛した数式」
小川洋子 著
初めて小川洋子さんの小説を読みました。
好きな文章、苦手な文章に分けると、小川さんの文は私にとっては好きな文章です。
シンプルで優しくて、つつましやかでユーモラス。
読んだ後に暖かい温もりが残る作品でした。
数学が大の苦手な私ですが数の世界の不思議や毅然とした美しさを感じることができました。
とくに『直線』のくだり。
ノートに定規を使って直線を描くとそれは始まりと終わりのある『線分』になってしまう。
そしてどんなに細い鉛筆で書いたとしても幅ができてしまうため、それは正確には面積となる。
『直線』とは面積を持たず、始点も終点もなく、空間のなかに無限に続いていくものだ。
そんな宇宙的な発想にえらく感動しました。
生活をしていく上ではなんら役に立たないことなんでしょうけど、
そういうことを考えることができる人間の力を信じたい気持ちになります。
そして知的な男性に大いに弱い私は、博士の穏やかで愛情深い物腰にうっとりしたりもしました。
この作品は映画化されましたが、個人的には主演の寺尾聡さんと深津絵里さんは作品のイメージにぴったりだと思っています。
特に深津さんは、控えめで思いやりにあふれ、それでいて大胆で頭の良いしっかり者のヒロインのイメージそのものです。
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